音楽とボランティアの新しいカタチ
つながり、楽しもう
~4時間のボランティアで音楽イベントに参加~

ボランティアから生まれる新たなつながり

東日本大震災をはじめとしたさまざまな災害をきっかけに、ボランティアという言葉を耳にすることがとても多くなった。一方で、ボランティアというと、「真面目に奉仕しなくてはいけない」、「自分にできることなんてあるだろうか?」と、少し構えて考えてしまう人も多いのではないだろうか。しかし、ボランティア活動をとりまく状況はここ数年でずいぶん変化してきているのだ。

ロックコープスが生み出す、信頼感と幸せな空気

2014年日本上陸以降、新しいボランティアの形を提案し続けているのが「ロックコープス」だ。ロックコープスとは、4時間ボランティア活動をすると、音楽イベントのチケットが手に入るというもの。2005年にアメリカで始まり、10カ国以上で開催。日本でも2014年から毎年行われ、今年で4回目を迎える。

昨年のセレブレーション会場の様子
なぜこのようなイベントを思いついたのか、創設者であるスティーブン・グリーン氏に聞くと、「私は常々、人が集まり自然につながりを生むことができるよい方法として“音楽”と“ボランティア”があると考えていました。だったら、その2つを組み合わせてしまおうと思ったのです」と語る。そして、こう続ける。 「ボランティア活動が社会貢献活動のひとつとして根付いているイメージのある欧米においても、誰もがボランティア意識が高いかというと、そういうわけでもありません。ですから音楽のような多くの人が楽しいと感じていることと、ボランティアを組み合わせることで、ボランティア活動をたくさんの人、とくに若者に広めたいと思ったのです」
そのうえで、大切なのはボランティアを通じて、人と人がつながりを感じ、信頼感を持つこと、そしてハッピーな空気が社会全体に広がっていくこと。
実際に過去にロックコープスに参加した人たちは“セレブレーション”と呼ばれる音楽イベント当日、会場にいるのはボランティア活動に参加した人だと思うと、4,000人の参加者を“他人”とは思えない。同じ目的を持って、汗を流した仲間と一緒にライブを楽しむという感覚になり、ほかのイベントとは一味違ったアットホームな雰囲気にあふれているという。 ボランティア活動は、人と仲良くなるうえでとても有効な機会とほほ笑むスティーブン氏。「実は、私が妻と出会ったのもロックコープスなんです」と教えてくれた。

“音楽”&“ボランティア”が生み出す、信頼感と幸せな空気

ボランティア活動というと「何に、どう役立っているか」といった視点で語られることが多いが(それはもちろん大切なことだが)、スティーブン氏の話を聞き、活動をする人自身に起こるポジティブな変化に注目している点が新鮮だ。 ロックコープスと連携するボランティア受け入れ先である公益財団法人かながわ海岸美化財団の柱本健司さんもボランティアを“楽しんで”ほしいと語る。
「江ノ島周辺の海岸に流れ着くゴミは、年間2,000トン。片付けても、片付けてもキリがなく行政の力だけでは到底たりません。年間約16万人のボランティアの皆さんの力なしには成り立たないと思っています。そして、それほどの数のボランティアがビーチクリーンに訪れてくださるのは、海岸をきれいにしたいという思いがあるのと同時に、活動そのものを楽しいと感じているからだと思います。活動している人自身が楽しむことは、ボランティア活動を息切れすることなく続ける大切な要素なのです」

“楽しむこと”が持続可能なボランティア活動を支える

そもそも、海岸のゴミを、マナーの悪い人が捨てていったもの、もしくは海外から流れ着いてくるものだと思っている人は多い。しかし、実際には、海岸のゴミの7割以上は川からやってくるという。山から流れてきた川は街を通り、いずれは海に注ぎ込む。大きな河川だけでなく、細い支流や用水路など、すべての川から運ばれてきたゴミが最終的に行き着くのが海だ。 「海岸のゴミは、誰かが悪意を持って大量に捨てたものというよりは、うっかり、またはちょっとした出来心で捨てたペットボトルやたばこの吸殻など、身の回りのものが川によって寄せ集められたものです」と、柱本さん。 特に、たばこの吸殻などは大量かつ小さいため、人の手でひとつひとつ拾う必要がある。また台風の後などは、街中のさまざまなゴミが海岸に流れ着く。こうした状況をなんとかしようと活動に参加するのは、かつてはサーファーや地元自治会がほとんどだった。しかし、近年、東京都内や神奈川県内からやってくる若者が増えている。
4時間のボランティアが完了したら、「セレブレーションチケット引換券」が配布されます
海岸のゴミは、社会全体の課題であるという活動趣旨が少しずつ広まっていること、ボランティア活動が身近なものになりつつあることに加え、誰もが気軽に参加しやすく、楽しみながらできることが一因だという。一度参加した人がリピーターになることも多い。 「みんなでゴミを拾って、その結果、きれいになった海岸を見るのはとても気持ちがいいことです。いいことをして晴ればれとした気持ちにもなりますし、海っていいなぁと、海の魅力を再発見して帰ってくださる人も多いようです。活動を通じて、海のよさを知ってほしい、海を好きになってもらいたいと考えている私たちにとってはうれしいことです」 気負うことなく自分たちのできる範囲で、楽しみながらボランティア活動に参加すること。それが結果的にボランティア活動を広め、継続的に行うひけつなのかもしれない。
スティーブン・グリーン氏は言う。 「私はよく『あなた自身のパーソナリティーのまま、参加すればいいですよ』と伝えます。ボランティア活動を生真面目に考えすぎたり、プレッシャーを感じたりする必要はありません。もちろん活動自体は一生懸命に行います。でも、ボランティアだからといって、別の誰かになる必要はない。冗談を言うのが好きな人は、冗談が好きな人のまま、のんびりしている人は、のんびりした人のままでいい。誰もが自分のできることを、楽しみながら行えばいいのです」

東京で行われるオリンピック・パラリンピックに向けて

2020年に東京で行われるオリンピック・パラリンピックでは、たくさんのボランティアが必要になるという。2012年のロンドン大会では、都市ボランティアに約8,000人、大会ボランティアに約70,000人が参加した。 ロックコープスのスティーブン氏も、公益財団法人かながわ海岸美化財団の柱本健司さんも、東京大会でのボランティア活動を見据えた参加も大歓迎と口をそろえる。

「私が今住んでいるイギリスで開催されたロンドン大会では、多くのボランティアが活躍。大会を成功に導きました。オリンピック以降、アスリート同様、ボランティアに注目が集まり、リスペクトされる存在となったのです。2016年の調査によると、現在イギリス国内でボランティア活動をもっとも活発に行っているのは、18歳〜24歳の若い世代であることがわかっています。ぜひこうしたことが日本でも起こるといいなと思います。若い世代の皆さんがボランティアをするのに、ロックコープスはとてもいい機会です。オリンピック・パラリンピックでボランティアをしたいと思うものの、ボランティア経験がないという人は、ぜひ参加してみてください」(スティーブン氏)

「江ノ島はセーリング競技会場になることがわかっています。私たちのボランティアを経験した人のなかには、2020年に東京で行われるオリンピック・パラリンピックに参加したいと考えている人も多くいます。オリンピックは、とても大きな行事ですからいきなりボランティアに参加するのに気後れする人もいるかもしれません。ぜひそのきっかけとして、ビーチクリーンに気軽に参加してもらえたらと思います。私たちの活動では、ごみ袋やトングなど、清掃に必要なものをそろえていますから、気軽に参加してください」(柱本さん)

楽しみながら、気軽にボランティアに参加

楽しみながら、気軽にボランティアに参加する。そうした意識がもっともっと日本に広がることは、社会にも参加者自身にも、ポジティブな変化を生みそうだ。また、東京で行われるオリンピック・パラリンピックを迎えるうえで、よい準備になるだろう。 最後に、スティーブン氏が語ってくれた。
「イベント当日までの間、ロックコープスのチケットをもらえるボランティアイベントが続きます。なかでも湘南ビーチクリーン活動は、誰でも参加しやすくおすすめです。ここでの経験は何事にも変えがたいものになるでしょう。どんな出会いや体験が待っているかは、参加してのお楽しみです。ぜひ皆さんボランティアに参加して、“セレブレーション”当日を楽しみましょう」
4時間のボランティアが完了したら、「セレブレーションチケット引換券」が配布されます

開催概要 | RockCorps supported by JT 2017

【日時】2017年9月2日(土)開場12:00 開演13:00 終了17:00(予定)  ※ 開催時間は変更になる可能性があります。
【場所】幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2−1)
【参加資格】「RockCorps supported by JT 2017」が実施するボランティアイベントに参加した方
【出演アーティスト】
海外アーティスト:フィフス・ハーモニー
国内アーティスト:miwa、SPYAIR、他1組
※ 他アーティストは順次発表いたします。

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